
その目的は、『GTAVI』開発の中心人物のひとりであり、ロックスター・ノースのHead of DevelopmentとCo-Studio Head(共同代表)を務めるロブ・ネルソン(Rob Nelson)氏の独占インタビューだ。
『マックス・ペイン3』や『レッド・デッド・リデンプション2』(RDR2)といったロックスター・ゲームスを代表する作品の開発に携わり、『GTAVI』の開発にも従事しているロブ・ネルソン氏。今回のインタビューでは、短い時間ではあるものの、最新映像と実際のゲームプレイを見ながらお話をうかがうことができた。そのため、本稿は公開されているトレーラーや長編映像では伝わりにくいシステム面など、細かい部分を中心に訊いたロングインタビューとなっている。
そこから垣間見えたのは、ジェイソンとルシアというふたりの主人公が生み出す新たな体験、突き詰められたリアリティーが広げるオープンワールドゲームの可能性だった。オープンワールドの作品では“ゲームでもうひとつの人生を”というキャッチコピーがおなじみだが、本作はそのレベルをつぎの段階に進め、本気でジェイソンとルシアの人生をプレイヤーに体験させようとしている。日常生活において、選択を迫られる場面は何度も訪れるだろう。しかし、それはYESとNOの二択だけではなく、その結果は誰にもわからない。それは本作でも同じだ。
世界的なシリーズの最新にして最高到達点を目指す作品、その一端をご覧いただきたい。

ジェイソンとルシアを主人公にした狙い

――“Grand Theft Auto VI: An Extended Look”を観た視聴者なら、ほとんどが「ゲームのクオリティーに心配はない」と判断するでしょう。唯一心配することがあるとしたら、本当に11月に発売されるのか? ということです。
――安心しました(笑)。ここからはゲームの詳細についてお聞きしていきます。まずは主人公のジェイソンとルシアについてですが、ふたりの目的について教えてください。
本日お見せするのは、そんなふたりがバイスシティの街に溶け込み、身を隠していながら生きていく姿です。この状況から抜け出すための資金をどうやって稼ぐかを相談しており、できれば街を離れることも視野に入れています。少なくとも、追手だけでも何とかしたい。
プレイヤーはそんなふたりの道のりを体験し、さまざまな奇妙でぶっ飛んだ場面に導かれることになります。ジェイソンとルシアは協力し合うのか、どのような結果を迎えるのか。それらはプレイヤーの手に委ねられます。プレイヤーの決断がすべてを左右する……ふたりの運命を決めるという大きな役割を担っています。

『GTAV』の後に『RDR2』の開発に取り組んだとき、主人公がアーサーひとりだけではプレイヤーに違和感をもたらすのではないかと危惧しました。ところが実際は、多くのプレイヤーがアーサーに強く感情移入してくれる結果となりました。
とくに選択肢や名誉システム(※)を通じて、アーサーの物語に影響を与えられたことが大きかったのだと思います。このような強い感情移入を『GTA』にもたらすには、どうすればいいのか? 主人公をカップルにしたらどうだろうか? そのアイデアを実行するなら、どのような物語になるのだろうか?
本作はジェイソンとルシアの物語であると同時に、ふたりの人間の関係性の物語でもあります。
このように思索を重ねるからこそ、『GTA』シリーズは毎回違うのです。キャラクターの構成もテーマも作品ごとに違います。今回は、これまで扱ってこなかったテーマに挑むための時期、技術、チーム体制といったすべての面で、挑戦する条件が整ったと判断しました。

“カップルではないけれど協力して乗り越えよう”もしくは“カップルとしてふたりで乗り越えよう”のどちらかを選ぶことになります。ふたりの関係を構築することにどれだけ注力するかは、プレイヤーに委ねられます。
そういった関係にはあまり触れたくない人もいるでしょうし、そのように進めても問題ありません。その場合、ふたりは恋人ではなく、協力者という意味での単純なパートナーとして物語を進めることになります。ただし、関係の深さによって、ふたりでできることの範囲も変わってきます。関係を深めなければ、手をつないだり、キスをしたりといった選択肢が失われます。しかし、努力することでその関係性を取り戻すこともできます。
お互いの関係を表すステータスや銀行の残高はゲーム内で確認できます。現実の人間関係のように、良好な関係を保つためには努力しなければなりません。

キャラクターの切り替えシステム
――カップルとして暮らすのであれば、きちんとすることも大事ですから(笑)。それに、ジェイソンがベッドに入るときのアニメーションがめちゃくちゃリアルですね。ルシアが寝ている横に、ちゃんとベッドカバーをはがして気だるそうに潜り込んでいて。
ふたりとも隠れ家の周辺では日々やることがあり、操作していないほうのキャラクターも自分の予定に沿って行動しています。どちらかに操作を切り替えることもできますし、ふたりを合流させることもできます。
――キャラクターの切り替えに制限はありますか? いつ、どこでも切り替えることができるのでしょうか。
高層住宅団地を切り抜けるミッションがあるのですが、前は自由に切り替えられるようにしていました。しかし、この状況を切り抜けるには元特殊部隊のジェイソンを操作するほうが自然だと考え、キャラクターを固定することにしました。このミッションはゲームの序盤ですし、ふたりで切り抜けるべき場面で、ルシアが主導して指示を出すのも不自然だと考えました。

このように設計されたミッションもあれば、映像の最後に登場した襲撃を受けるミッションのように、ジェイソンとルシアの操作を交互に切り替えるものもあります。
――ガソリンスタンドに併設されたコンビニで強盗を働くシーンもありましたが、これは固定されたミッションですか? それともフリーミッションですか?
ゲーム全体にも言えることですが、本作の隠れ家はいままでの『GTA』の隠れ家より遥かに複雑になっています。ジェイソンとルシアは非常に広大なマップの中を動き回っています。今回お見せしたのは、ほんの小さなエリアです。物語はレオナイダキーズから始まります。素敵な3Dマップで、ここにトレーラーにも登場したジェイソンの最初の家があります。新しいエリアをアンロックすると、マップ上に描き込まれますが、本作のマップでも『GTAV』や『RDR2』と同様に未探索のエリアは隠されており、実際に訪れることで表示されるようになります。
――所持金などの経済状況に合わせて、隠れ家の内装が変わったりしますか?
ストーリーは章ごとに進み、キャラクターの隠れ家もその進行に合わせて移り変わります。『RDR2』のキャンプに近いものと言えるでしょう。そこで暮らす者にはそれぞれ日々の予定があり、プレイヤーはその中で実際に生活しているような感覚……『RDR2』のキャンプで実現したような感覚を楽しめます。


ジムのワークアウトでも深まるロールプレイ
私たちはリアリズムと遊びやすさのちょうどいいバランスを、つねに模索しています。『RDR2』でも同じように試行錯誤をくり返し、リアリズムとプレイヤーの利便性の絶妙なバランスを見出そうと努めてきました。
しかし、単純に冷蔵庫を開けて間食したり、レストランに行ったりする行為をただのロールプレイのひとつに留めることなく、これらの行動に意味を持たせたいとも思いました。
本作では体力レベル、有酸素運動レベル、フィットネスレベルなどの統計を追跡していて、キャラクターをムキムキの体型にしたり、たくさん食べて太らせたりすることもできます。その一環として、プレイヤーはジムでワークアウトが可能です。ワークアウトはうまくコントロールする必要があって、レスポンスもよく、かなり手応えのあるミニゲームとなっていますよ。
ワークアウト中は動き続けるごとにスタミナが減っていって、スタミナが尽きるまでにセットを完了しなければなりません。速く動きすぎると体に余計な負荷がかかるので、バランスが大事です。けっこうおもしろい手触りになっています。
今日やるべきエクササイズは3つあって、終わったら休憩します。これを3日続けて行えば、主人公の体力と筋力がレベルアップします。ジムにある器具はほとんどが使えるので、懸垂なども楽しめます。トレーニングが完了したら、仕上げにプロテインシェイクを飲んで、プロテインバーを食べましょう。
――本当にリアルですね(笑)。食べたものはキャラクターのステータスに影響を与えますか?
なお、スタミナやライフの基礎値はトレーニングで上げることができます。
指名手配の刷新、新たな“評価”システムも
――ちなみに、これまでと同様に天候は変わりますか?
――強烈な日差しや暗所の照明といった光の演出、環境音や効果音にも開発チームの力が入っていると感じました。
――お店から流れる音楽、通行人の話し声、車のクラクションやサイレンと、道を歩いているだけでも何かしらの音が流れている。日本と海外の街を比べてもっとも違うのは耳に入る音だと思うのですが、それが見事に再現されています。その中を行き交う人々も同じような行動を取っていないので、そこで生活しているという臨場感がすごい。
本作ではキャラクターの身長や体型のバリエーションが非常に豊富なので、登場人物の個性がさらに豊かに感じられるようになっています。
――同じモデルの通行人が発生しにくくなったということですか?
――ゲームプレイを拝見していて、本作では悪事を働いても指名手配度の星はすぐに増えない印象を受けました。
指名手配システムも全面的に刷新しました。いままでの『GTA』では、どこで犯罪に手を染めても、誰にも目撃されていなくても、自動的に指名手配されるように感じられました。『RDR2』では誰かに見られていないと指名手配されないのですが、本作にもそのシステムを導入しました。
なお、本作では手持ちの現金以外にも自分の銀行口座があります。現金は“Wasted”や“Busted”状態になると紛失するリスクがありますし、問題を起こして警察や市民に倒された場合は現金をすべて失うので、安全な場所に預けたほうがいいでしょう。

ここは『グランド・セフト・オート』の世界です。プレイヤーに「善人のように振る舞わなきゃ」と思ってほしくはないですし、望むなら悪人として振る舞うこともできます。とはいえ、悪事を働いて暴れすぎると、物語やキャラクターに何らかの影響が出る可能性もあります。
――善人として行動した場合、ゲームにどのような影響が生まれるのでしょうか?
『GTAVI』におけるシステムは、プロフェッショナル寄りの犯罪者か、それとも暴力的で危険か、プレイヤーがどのような犯罪者なのかを評価します。その評価で、周囲の人々や世界が攻撃的に反応するかどうか、判断されます。自分がしたことは自分に返ってくる……そういう世界なので、自分が攻撃的であればあるほど、まわりも攻撃的になっていきます。
たとえば宝石店を襲ったとき、誰かを撃ってしまっても、うまく立ち回ってすぐに逃走できれば、善人寄りのプレイに近づけることができます。逆に、警察などに攻撃的な態度や行動を取った場合、相手もすぐに態度を変えて攻撃的に対処してきます。プレイヤーの行動は、周囲の世界の反応に影響を与えるのです。
――名誉のようなシステムや善悪の評価が存在するゲームをプレイすると、悪いことをしたら何か逃してしまうものがあるのではないかと心配しがちです。「ゲームの内容を見逃したくないから善人としてプレイしよう」と考える傾向が強くなりますが、その点についてはどのように思われますか?
『GTA』では初めて導入されるこのシステムで、プレイヤーにさまざまなプレイを楽しんでいただきたいですね。本作に求めるものは、人それぞれで違うと思います。“正しい遊びかた”なんて存在しませんし、私たちも遊びかたについてはあれこれ言うことにならないように努めてきました。
――プレイヤーの選択肢をあえて狭めるゲームもあるなか、『GTAVI』はより多くの選択肢を提示し、システム的にも決断を下すプレイヤー側にとっても、より複雑なものとなっています。そのようにしたのは、プレイヤーに“別世界で生きている”という感覚を強く味わってもらうためだと思いました。

過去のどの作品よりも複雑な仕組みになっていますが、必ずしも誰かのやりかたに合わせる必要はありません。このゲームをクリアーする方法はたくさんありますし、複雑なシステムに身を置かなくても楽しめます。ゲームの世界に没頭するのが大好きな人々に、その奥深さを楽しんでもらえたらうれしいです。単純に暴れ回るなど、よりストレートな方法で楽しみたいなら、もちろんそれも可能ですから。
車両盗難ひとつにも多彩な新要素が!
乗り物にも段階的な要素を設けました。鍵開け用の工具でドアをこじ開けられるものもあれば、ゲーム後半で手に入るキークローナー(電子キーのデータを複製する機器)が必要なものもあります。最初からどの車も盗めるわけではなく、プレイヤーは段階を上げていく必要があります。
盗もうとしている車が高級車の場合は、キークローナーが必要です。また、高確率で警報と高性能トラッカーを搭載している可能性があります。盗めたとしても、しばらくゆっくりと運転しているあいだにトラッカーから信号が送られ、警察に位置を把握されてしまうことがあります。
古い車種であれば鍵開け用の工具で十分ですが、新型の車両や高級車は警報を発動させないようにキーを複製しないといけません。また、窓を破壊した場合は警報が鳴ってしまうので注意が必要です。
車両によってはすぐに売れない場合があります。そういった車は途中で降りることになりますが、いずれはこういったトラッカーを取り外すことができる、車の盗品商も登場します。先ほど触れたように、すべての乗り物にこのような段階的な仕組みを反映しているので、高級車を盗んで売れるようになるまで、いくつかステップを踏まなくてはなりません。
――最初から何でも簡単に盗めないということですね。ゲームプレイでは警察に追われて、しかもまだ売れない車なので降りて放置していましたが、すぐに警察が現場に来ていました。
警報器はついているけれどトラッカーは通常という、そこまで高級ではない車もあります。ランディという車の盗品商が欲しがっている車両を見つけたら、盗んで届けることもできます。持ち主は車を盗まれたら怒るでしょうが……。
見つけたとしても、友人のクラブなどでは車を盗めません。後述する隠れ家の周辺はいわゆるセーフゾーンになっており、ストーリーに関係する一部の場所も保護エリアに設定されています。ジェイソンが友人とストリップクラブに行くシーンがあるのですが、ここはジェイソンの友人であるドレクァンのクラブなので、彼のクラブの前では車を盗めません。商売によくないですからね。

これまでの『GTA』では、プレイヤーはオープンワールドで神のように振る舞える、非常に強力な存在でした。警察以外で唯一銃を持ち、自由に行動でき、周りの人々はプレイヤーをただ恐れ、逃げ惑うだけでした。今作の世界はこれまでと異なり、非常に危険です。他者が銃を持っている場合があり、時にはプレイヤーに反抗してくることもあります。慎重にプレイしたい方にとって、独特な緊張感を提供するでしょう。
NPCが運転している車を盗む際、持ち主を殴ったり引きずり下ろしたりせず、車から降りるように大声で命令するだけで済む場合もあります。でも、それが通じない場合もある。それどころか、発砲してくることさえあります。
ここでプレイヤーは撃ち返すか、あきらめて逃げるのかを選択できます。撃ち返した場合は“犯罪プロファイル”に影響が出ます。もちろん、伝統的なやり方を選ぶこともできます。

まだ正確な位置は把握されていませんが、服装や見た目、運転している車両といった情報を元に捜査が始まります。この状態を“ヒート”と呼んでいます。車を降りれば該当するアイコンは消えますが、武器を所持していることも伝わっているので、引き続き怪しい人物として警察の捜査対象となっている可能性があることに変わりはありません。
強盗した際に持っていた武器を捨てれば、それを失う代わりに警戒度を下げられます。また、服装や見た目も知られている場合は、服を脱げばヒートから逃れることもできます。衣料品店で着替えて変装してしまえば通報時の情報に当てはまらなくなるので、安全に逃げ切れるのです。
警察はヒートの範囲内であるヒートエリアを捜索していて、この中にいる限りヒートは消えません。しかし、ヒートエリアの範囲外に出ることができれば警察の追手も消えます。エリアを離れてしまうという手も、逃亡手段のひとつとなります。ただし、現場から警察が離れたからといっても安心できません。手配済みの車両に乗れば、警察に見つかるリスクはあります。
――そういえば、いままでの『GTA』では見られなかった交通渋滞もありましたね。
もちろん、渋滞なんか気にせず、無茶な運転をすることも可能です。しかし、車に傷をつけると価値が下がるので、少しでも高く売りたい場合は、いい状態で届けられるよう慎重に運転するのをおすすめします。車が売れたとしても、しばらくの間は同じ“ペイ&スプレー”に別の車両を持ち込めません。急いで車を売りたい場合は、別の場所にある“ペイ&スプレー”を探す必要があります。
“ペイ&スプレー”では車を修理できますし、ヒート状態から逃れるために再塗装することも可能です。ただし、色を変えられるくらいなので、凝ったペイントをしたければチューニング・ショップに依頼する必要があります。盗んだ車を自分の車両として登録することもできますが、序盤は3台分しか保管スペースがあ��ません。マップの各地でガレージを購入することで、より多くの乗り物を所有できるようになります。
ガレージでの車の入れ替えは『RDR2』の馬の管理と少し似ています。3台の車を保管していて、新しい車を個人車両にしたい場合は、1台売ってスペースを空けなくてはなりません。個人車両になると、自分の武器を積むこともできます。
盗んだ乗り物は、レーダー上では灰色のアイコンとして表示されます。自分の所有物ではありませんが、しばらくはそのままで留まり続けます。ゲームの再起動時には消えてしまいますが。『RDR2』をプレイした方ならご存じかもしれませんが、あの世界には自分が所有している馬と、盗んで一時的に自分のものになる馬が存在していて、後者はしばらく手元に残りますが、やがて消えてしまいます。それと似たシステムを、本作の乗り物に導入しました。
銃は個人車両だけでなく、どんな車のトランクにも収納できますし、そのまま捨てることもできます。所持している銃は、必ず個人車両のトランクやアミュネーション(武器ショップ)の武器庫に保管されるので、その場で捨ててもなくなることはありません。
アミュネーションでは、その店舗限定の特殊な銃が販売されています。種類もじつに多種多様です。カスタムについても、これまで以上にいろいろな改造ができるようになりました。

大型銃を隠し持つことはできない!?
車両は自分がいる場所へ配車してもらえるので、不便に感じることはないでしょう。盗んだ車のトランクに入れることも可能で、その車を所持し続ける限りは中に保管しておくことができます。
――銃を持ったまま歩くと、通行人の反応が変わっているように見えましたが……。
とはいえ、長銃を1丁持っているだけなら、周りにいる人はそれほど気にしないので、歩き回っても騒ぎにはなりません。反応されるのは手に銃を持っているときです。
本作では、初めて武器を隠し持つことができなくなります。この仕様を決断するまで、熟考を重ねました。ショットガンやロケット・ランチャーをどこからともなく取り出して大混乱を巻き起こせるのが、これまでの『GTA』の特徴のひとつでした。これをなくすことで『GTA』のおもしろさを失うのでは……と心配したこともありました。しかし、プレイヤーにより多くの選択肢や決断の機会を与えるほうが、楽しさが増すのではないかと考えました。
本作が目指すリアリティーや世界観の説得力を考えれば、『GTAV』みたいにカービンライフルを手に持ったまま街を歩いても誰も反応しないような状況は、逆に不自然ですよね。『GTAV』では人に銃を向けたときに初めて逃げ出しますが、現実味を強調する世界観の中では、あまりに不自然です。実際にこういう武器を手に持ってストリートをウロウロしていたら、どうなるでしょう? みんながその場から立ち去り、警察にも止められます。そういった雰囲気を再現したかったんです。

――プレイヤーの行動がゲーム内の世界に影響を与えることを、本作ではより重視しているという証明のひとつですね。
――本作ではお金を稼ぐことがより重要となるようですが、車を盗む以外にも具体的な方法はあるのでしょうか?
ここで新機能を紹介します。それが制圧射撃です。相手に銃弾を撃ち込むのではなく、あえて狙いを外して近くを撃つことで、相手を怯えさせたり、混乱させたりして逃げる時間を稼ぐことができます。これは、逃走時に警察や民間人を殺さないという選択肢を提供する狙いがあります。
つまり、相手をその場に押しとどめて逃走を図れるのですが、これは追われるカップルというストーリーにも合っています。追い詰められて、やむなく撃つ……という状況でもないのに、その場に留まって銃撃戦をするというのは、ふたりの立場的に不自然ですから。もちろん戦うこともできますが、犯罪プロファイルに影響が出ますし、本作の警察はなかなか手強い相手ですよ。
星がふたつくらいの手配度であれば、逃げ切るのはじゅうぶん可能です。たとえば、通報時にマスクをかぶっていたとします。警察はマスク姿の人物を追っているので、マスクを外せば、警察から認識される度合いが下がります。
さらに銃をしまって、警察の様子をうかがいながら、ボロい車を盗みます。服装は知られていますが、その車は警察に知られていないので、慎重に運転すれば気づかれずに逃げられるかもしれません。しかし、服装を変えずに車を降りて立っていると、服装から気づかれてしまうので注意が必要です。節度ある行動を取れば、誰も殺さずに逃げ切ることも可能です。
ショップの強盗をお見せしましょう。バレないように裏口から向かいますが、扉を蹴り破れば警報が鳴ります。スナップガン(ピッキングができる特殊工具)を持っているので、ここは忍び込んでみます。中に入って監視カメラを破壊すれば、見られることはありません。セキュリティシステムを無力化すれば、警報も鳴りません。このように、店のレジからこっそり現金を奪うこともできます。そのまま離れれば、ここで何が起きたのかを誰にも知られずに済みます。
マップではさまざまな情報を得られるので、ギャングの拠点をチェックして、忍び込んで現金や薬物を奪うこともできます。拠点にどれくらいの現金や薬物が保管されているかもマップでわかりますし、奪った薬物は盗品商に持ち込めます。単独、あるいはふたりで宝石店や小規模の銀行を襲うこともできます。
なお、マップを開かなくてもボタンを長押しすれば目的地を設定できるので、手早く進めることが可能です。
宝石商などはセキュリティもしっかりしているので、しっかり準備を整えたほうがいいですね。警察の対処もきびしいので、用が済んだら早く引き上げましょう。ふたりで強盗して警察に追われた場合、プレイヤーがルシアを操作して運転を担当し、射撃をジェイソンに任せることもできます。ルシアの運転技術も優秀なので、逆にルシアに運転を任せて、プレイヤーはジェイソンを操作して射撃することも可能です。
マスクを着けていたなら、車を降りて脱いでしまえば安全です。ふたりで強盗の依頼人に戦利品を引き渡しに行けますが、ルシアひとりで行かせることもできます。目的地までジェイソンに運転してもらって、プレイヤーのルシアはその横でスマホをチェックするなんてことも可能です。
――逃走時にジェイソンがパトカーのタイヤを撃っているシーンも見ましたが、車の前部やウィンドウなど、ダメージを与えた場所が乗り物の状態や運転手の反応に影響を与えるのでしょうか?
――それもプレイヤーが取れる選択肢のひとつということですね。これらも『GTAVI』全体からしてみれば、ほんの一部のように感じます。

スマホやSNSも絡めた現代劇
――何が起こるか、ロブさんでもわからないことがあるのですね(笑)。これまでの『GTA』では、プレイヤーは主人公となって、その世界の中で好き勝手に行動できました。『GTAVI』は、主人公になりきるという側面がより進化し、体験のインタラクティブ性が増しているように感じます。
奥深いストーリーとともに、バイスシティとレオナイダを旅していただきたいですね。同様にこのオープンワールド、それを取り巻く各種システムもしっかり作り込んであります。
本作ではお金を稼ぐことが重要となると言いましたが、過去作ではミッションとオープンワールドでの行動が少し乖離していた部分もありました。『RDR2』ではそのふたつの要素を少し近づけられましたが、本作では完全に一体化できました。ミッションをこなしているだけでは、ストーリーを進めるのに十分なお金は得られません。オープンワールドでお金を稼ぐことによって、ストーリーを進められるようになります。

――いろいろなコンセプトやコンテンツが詰め込まれていますが、ユーザーインターフェースは複雑ではありませんね。
とはいえ、画面をできるだけスッキリさせておきたいので、こういった機能や表示についてはなるべく最小限にとどめています。画面がごちゃごちゃするのは、あまり好きではないので。
――スマホを活かした操作もスムーズで、プレイが中断される感覚はありませんでした。
――スマホとなるとSNS機能が気になるところですが、ゲーム内ではプレイヤーが撮った写真をアップロードできたりするのでしょうか?
ただ、他人のSNSをチェックすることはできますし、動画アプリやフィットネスアプリ、銀行アプリ、自分の車を配送してくれるアプリ“Scooter Bros”など、多くのアプリを用意しています。
――SNSの投稿やメッセージ機能がゲームでも使えると思わせるシーンは過去のトレーラーでも見受けられました。そういった機能はミッションでも活用されますか?
ゴミ箱にいる男性との遭遇をお見せしましたが、これはいわゆるランダムイベントにあたります。ふとした場所で出会ったり、交流したりできる人々との出会いでは、彼らがライブ配信していれば、それが表示されます。インタラクトできるランダムイベントは、いろいろな場所で発生しますよ。
――本当に変な人でしたね。


当時はテロリズムへの恐怖が広がっており、橋は閉鎖され、まだインターネットカフェが営業していました。プレイしていて、タイムマシンに乗ったような感覚になりましたね。それは本作にも関係してくる要素で、何度も考えました。
現代社会を風刺し、おもしろおかしく描くのは可能だと思いますが、ネタ選びには気をつけなければなりません。一過性のものを扱うと、プレイヤーに本作を古臭く感じさせてしまいます。扱うべきは、私たちが生きるいまを体現するような要素です。10年後には旬を過ぎていても、すぐに消えてしまうようなものでないなら採用することにしました。
後で「2026年ってこういう時代だったな」と振り返ることができる作品にするのが大事だと思っています。
――文化の取り入れかたや場面描写など、ロックスター・ゲームスはゲームで表現する要素の選択がとても上手です。それが20年前のタイトルであっても、プレイヤーがただの古臭いゲームだと感じることはないでしょう。
ビデオゲームをさらに新たな領域へ
――気になったので訊いてしまうのですが、『GTA:バイスシティ』を含めた過去の『GTA』作品とのつながりなど、何らかのイースターエッグはありますか?
――プレオーダーボーナスにクラシックな“ヴィンテージ・バイスシティパック”がありますが、その紹介文の中にトミー・ベルセッティの名が出てきて、うれしくなりました。

プレオーダーの発表時にもお知らせしましたが、本作ではこれまで以上にいろいろな髪型も含めたカスタマイズ要素をお楽しみいただけます。数えきれないほどの衣料品店や美容院がマップのあちこちにあります。隠れ家でも髪を切ることはできますが、カスタマイズの選択肢は限られています。多くの髪型を試したいなら美容院に行かなければなりません。
――『GTAVI』のプレイヤーには、どのような体験を提供したいのでしょうか。
――ゲームシステムを魅力的なものにすればするほど、データや工数が増え、実装に費やす作業量も多くなりますよね。
プレイヤーのアクションが暴力だけなら、人々は逃げ出すのみの反応でよかったのですが、このシステムにしたことで、親切な言葉や侮辱への反応といったものも用意しなければいけなくなった。これで作業量は一気に増加しました。
しかし、人口が少ない 100年前の世界でこのシステムを実装できたことで、今作の規模でも可能なのではないかと考えられるようになりました。そして、実現しました。たいへんでしたが、苦労の甲斐はあったと思います。
――リアルな世界を描くという点において『RDR2』は最高峰のひとつともいえる作品ですが、そのコンセプトや方向性が現代を舞台にした『GTAVI』にも引き継がれているのはとてもすばらしいことです。

私は2003年にロックスター・ゲームスに入社しました。それまでは別のゲーム会社に勤めていたのですが、2001年に『GTAIII』がリリースされたとき、多くの方々と同様にかなりの衝撃を受けました。2002年に『GTA:バイスシティ』が発売されたときも、作品と開発チームが成し遂げたことに感銘を受け、絶対にこの会社で働きたいと思いました。それから6ヵ月間は門を叩き続け、ようやく採用されて2003年に入社しました。『GTA』シリーズに携わることは、ずっと私の夢でした。
ロックスター・ゲームスに入社してから23年になりますが、そのあいだにいろいろな作品に関わることができました。私自身がいちばんの『GTA』ファンみたいなもので、このシリーズにはビデオゲームというメディアを新たな領域へ押し上げる力があると確信しています。
このチームといっしょに今作に取り組み、実現できることは夢のようです。皆さんにもこの作品を愛していただけるとうれしいです。















